令和8年6月5日、京田辺市議会に提出された3つの議案について、その内容を市民の皆さまにもわかりやすく解説します。
はじめに:「専決処分」とは何か
本題に入る前に、そもそも「専決処分」とは何かを簡単にご説明します。
通常、市の条例を改正するには市議会の議決が必要です。しかし、法律の改正に伴い「令和8年4月1日から施行」と定められているような場合、市議会を開いて審議する時間的余裕がないことがあります。そうした緊急時には、地方自治法第179条第1項の規定により、市長が議会に代わって条例を改正する「専決処分」を行うことが認められています。
ただし、市長が専決処分を行った後は、速やかに議会に報告し、その承認を求めなければなりません。今回の3つの議案は、いずれも令和8年3月31日に国の法律・政令が公布され、翌4月1日から施行されることに対応するため専決処分されたもので、市議会にその承認を求めるものです。
承認第2号:京田辺市税条例の一部を改正する条例
改正の背景
令和8年3月31日に「地方税法等の一部を改正する法律」が公布されたことに伴い、京田辺市税条例を改正したものです。この改正は多岐にわたりますが、主なポイントを3つに絞ってご説明します。
改正ポイント①:軽自動車税「環境性能割」の廃止
これまでの制度
軽自動車税には、2つの要素がありました。
- 環境性能割:軽自動車を「取得したとき」に、その車の環境性能(燃費など)に応じて課税されるもの
- 種別割:毎年4月1日時点で軽自動車を「所有している人」に課税されるもの
今回の改正
「環境性能割」が廃止され、軽自動車税は「種別割」のみのシンプルな構造になりました。これに伴い、条例中の「種別割」という表記がすべて「軽自動車税」に改められ、環境性能割に関する規定(税率・申告・減免・徴収取扱費など)が削除されました。
これは「税金が安くなった」ということではなく、税の仕組みが整理されたということです。なお、施行日前(令和8年3月31日以前)に取得した軽自動車については、従前の規定が適用されます。
改正ポイント②:住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)に関する規定整理
住宅ローンを組んで住宅を取得した場合、所得税や住民税から一定額が控除される「住宅ローン控除」という制度があります。
今回の改正では、古い時代(平成11年〜平成18年に入居した方向け)の特例措置に関する規定(附則第7条の3)が、適用期限終了に伴い削除されました。これに伴い、現在も有効な平成21年以降入居者向けの規定(旧附則第7条の3の2)が、条番号を繰り上げて「附則第7条の3」に整理されています。
また、「肉用牛の売却による事業所得に係る市民税の課税の特例」の適用期限が、令和9年度から令和12年度まで延長されました。畜産農家の皆さまに関係する規定です。
改正ポイント③:固定資産税の特例措置に関する変更
固定資産税には、一定の設備や施設に対して税負担を軽減する「課税標準の特例措置」があります。今回、主に以下の変更が行われました。
1. 再生可能エネルギー発電設備に関する特例措置の整理
太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス発電設備に関する課税標準の特例割合が見直されました。例えば、一部の設備では「3分の2」から「2分の1」に、「7分の6」から「5分の3」に、「4分の3」から「3分の2」にそれぞれ引き下げられています。これは、再生可能エネルギー設備の普及が進んだことを踏まえ、特例措置を段階的に縮小するものです。
2. バリアフリー改修を行った建築物への特例措置の拡充
これまで「改修実演芸術公演施設」(劇場や音楽ホールなど)のみが対象だったバリアフリー改修に関する固定資産税の減額措置が、「改修特別特定建築物」(より広い範囲の公共性の高い建物)に拡大されました。高齢者や障害者の方が利用しやすい施設への改修を後押しする改正です。
3. 特例割合の規定追加
新たに「法附則第15条の11第1項に規定する市町村の条例で定める割合は3分の1とする」という規定が追加されました。
経過措置
- 令和7年度分までの税については、従前のルールが適用されます。
- 令和6年4月1日から令和8年3月31日までに取得された旧法の特定再生可能エネルギー発電設備については、従前の例によります。
- 平成30年4月1日から令和8年3月31日までに利便性等向上改修工事が行われた「改修実演芸術公演施設」についても、従前の例によります。
承認第3号:京田辺市都市計画税条例の一部を改正する条例
都市計画税とは
都市計画税は、都市計画区域内の土地・家屋の所有者に対して、都市計画事業(道路・公園・下水道整備など)や土地区画整理事業の費用に充てるために課税される目的税です。
改正の概要
今回の改正は、承認第2号の固定資産税に関する改正と歩調を合わせたもので、引用する地方税法附則の条項番号が変わったことに伴う「引用条項の整理」が主な内容です。
具体的には、地方税法附則第15条の各項が1項ずつ繰り上がったため、京田辺市都市計画税条例が引用している「附則第15条第14項」を「附則第15条第13項」に、「附則第15条第32項」を「附則第15条第31項」に……といった形で、条番号の読み替えが行われています。
また、承認第2号と同様に、バリアフリー改修を行った建築物への特例措置について、対象施設が「改修実演芸術公演施設」から「改修特別特定建築物」に拡充され、それに伴う申告手続きの規定も改められました。
実質的な影響
この条例改正により、都市計画税の税率や税額計算方法が変わるわけではありません。国の法律改正に伴う「条文の調整」であり、納税者の皆さまへの直接的な影響はほとんどありません。
承認第4号:京田辺市国民健康保険税条例の一部を改正する条例
改正の背景
令和8年3月31日に「地方税法施行令等の一部を改正する政令」が公布されたことに伴う改正です。この改正は、子育て世帯への支援強化を目的とした重要な変更を含んでいます。
改正ポイント①:「子ども・子育て支援納付金課税額」の賦課限度額の設定
国民健康保険税には、令和8年度から新たに「子ども・子育て支援納付金課税額」という区分が設けられています。これは、子ども・子育て支援のための財源を確保する目的のものです。
今回の改正では、この子ども・子育て支援納付金課税額について、一定の上限(賦課限度額)を超えて課税されないよう、条例に明記されました。
改正ポイント②:低所得世帯の保険税減額措置の拡充
国民健康保険税には、所得が一定額以下の世帯に対して、均等割額や平等割額を7割・5割・2割軽減する制度があります。
5割軽減の判定基準
「43万円+(被保険者等1人につき30万5,000円)」から「43万円+(被保険者等1人につき31万円)」に引き上げられました。
2割軽減の判定基準
「43万円+(被保険者等1人につき56万円)」から「43万円+(被保険者等1人につき57万円)」に引き上げられました。
この引き上げにより、軽減措置を受けられる世帯の範囲が広がります。物価上昇などを考慮した改正といえます。
改正ポイント③:子ども・子育て支援納付金課税額の減額規定の追加
新設された「子ども・子育て支援納付金課税額」についても、低所得世帯への減額措置が適用されるよう、以下の減額規定が追加されました。
| 区分 | 7割軽減世帯 | 5割軽減世帯 | 2割軽減世帯 |
|---|---|---|---|
| 被保険者均等割額(1人あたり) | 749円 | 535円 | 214円 |
| 18歳以上被保険者均等割額(1人あたり) | 49円 | 35円 | 14円 |
| 世帯別平等割額(一般世帯) | 525円 | 375円 | 150円 |
※特定世帯・特定継続世帯については、さらに低い金額が設定されています。
改正ポイント④:未就学児の均等割軽減
6歳以下(未就学児)の被保険者については、子ども・子育て支援納付金課税額の被保険者均等割額についても、世帯の軽減区分に応じた軽減が受けられます。
| 世帯区分 | 未就学児1人あたりの減額 |
|---|---|
| 7割軽減世帯 | 161円 |
| 5割軽減世帯 | 268円 |
| 2割軽減世帯 | 428円 |
| 軽減対象外世帯 | 535円 |
改正ポイント⑤:出産被保険者への減額措置の適用
出産前後の期間(産前産後期間)については、国民健康保険税の負担が軽減される制度があります。今回の改正により、この産前産後期間中の減額措置が、子ども・子育て支援納付金課税額についても適用されることになりました。
減額対象となるのは以下の3つです。
- 所得割額
- 被保険者均等割額
- 18歳以上被保険者均等割額
それぞれ、産前産後期間(出産予定月の前月〜翌々月の4か月間、多胎妊娠の場合は6か月間)に応じて月割で減額されます。
改正ポイント⑥:18歳未満被保険者の均等割全額免除
最も注目すべき改正はこれです。
18歳未満の被保険者(18歳に達する日以後の最初の3月31日以前の方、つまり高校生世代以下)については、子ども・子育て支援納付金課税額の被保険者均等割額が全額免除されることになりました。
これは、子育て世帯の経済的負担を軽減し、子ども・子育て支援を強化するための措置です。
まとめ
| 承認番号 | 条例名 | 主な改正内容 |
|---|---|---|
| 第2号 | 市税条例 | 軽自動車税環境性能割の廃止、住宅ローン控除規定の整理、固定資産税特例措置の見直し |
| 第3号 | 都市計画税条例 | 地方税法改正に伴う引用条項の整理、バリアフリー改修特例の対象拡充 |
| 第4号 | 国民健康保険税条例 | 軽減判定所得基準の引き上げ、18歳未満の均等割免除、出産被保険者への減額適用拡大 |
いずれの改正も、国の法令改正に対応するために必要なものであり、特に承認第4号は子育て世帯への支援強化という明確な方向性を持っています。市議会での承認を経て、これらの改正条例は令和8年度の税務行政に反映されることになります。

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