皆さんが選んだ議員が、政策を調べたり、自分の考えを整理したりするときにAIを使っていたら、どう感じるでしょうか。
「自分で考えているのだろうか」と心配する方もいれば、「よりよい仕事につながるなら、使ってほしい」と思う方もいるでしょう。
私は、AIを上手に活用することは、議員の仕事の質を高めることにつながると考えています。ただし、使う側にも知識や経験、そして自分で考え、判断する力が必要です。
議員の仕事に、AIはどう役立つ?
「AIエージェント」は、目的に沿って情報を集め、整理し、比較するなど、いくつかの作業を進める仕組みです。地域の課題について調べる際にも、活用できる可能性があります。
例えば、市民の方から「通院や買い物に使える交通手段が少なくて困っている」という声が届いたとします。
対応を考えるには、地域の状況を知るとともに、ほかの自治体の取り組みや費用、利用状況などを調べる必要があります。予約型の乗り合い交通やタクシーへの助成など、複数の方法を比べることも大切です。
AIは、こうした資料や政策の効果を裏付ける調査を探し、比較するための整理を手伝えます。同じ目的を、より少ない費用や住民の負担で実現する方法を考える際にも役立つでしょう。
ただし、AIがまとめた情報は、元の資料や数字の出典を確認する必要があります。他地域で成果があった方法も、私たちの地域に合うとは限りません。効果とともに、費用や運営上の課題を確かめることが欠かせません。
また、AIは考えを言葉にする相手にもなります。「この制度は使いにくい」という声について、申請の手間なのか、説明の分かりにくさなのか、情報が届いていないのかを整理する。そこから、さらに調べるべきことや、次に聞くべきことが見えてくる場合があります。
現場で感じた疑問を言葉にし、再び市民の声を聞く。こうした往復が、課題への理解を深める助けになると思います。
AIにも聞いてみました。議員はどう使うとよい?
この記事を考える中で、AIにも「議員はどのようにAIを使えばよいと思うか」と尋ねました。その提案をまとめると、自分の考えを点検し、次に確かめることを見つけるために使うというものでした。
一つ目は、反対の立場から検討してもらうことです。「この施策で困る人はいないか」「実施がうまくいかないとしたら、どんな理由が考えられるか」と問いかける。見落としていた負担や課題を考えるきっかけになります。
二つ目は、分かっていることと、まだ分からないことを整理することです。「この資料で言えることはどこまでか」「判断する前に、どんな情報を集める必要があるか」と尋ねる。次に読む資料や、現場で確かめる質問を具体的にできます。
三つ目は、市民に伝わる説明かどうかを点検することです。「専門用語を使わずに説明できるか」「費用や不便になる点も伝わっているか」と確認し、説明を練り直す相手にします。
ただし、AIが挙げる反論や市民の反応は、あくまで検討のための仮説です。実際の市民の声として扱わず、資料と現場で確かめることが必要です。疑問を持つ、AIで整理する、人や資料で確かめる、自分で判断する。この往復を大切にする使い方です。
市役所の普段の仕事にも
自治体職員の業務にも、会議の記録の要約、案内文の下書き、住民向けの説明を分かりやすく整える作業、業務マニュアルの整理など、活用できる場面があります。
個人情報などの取り扱いについてルールを守り、職員が内容を確かめながら活用すれば、日々の作業負担を減らせる可能性があります。生まれた時間を、窓口で丁寧に話を聞くことや、一人ひとりの事情に合った対応を考えることにつなげてほしいと思います。
AIを使いこなすために必要なこと
活用の鍵になるのは、使う側の「問いかける力」です。
「なぜ、この手続きが必要なのだろう」「この制度を使えずに困っている人はいないだろうか」「もっと負担の少ない方法はないだろうか」。
日々の暮らしや市民との対話から生まれる疑問が、調べる出発点になります。返ってきた答えについても、「本当にそうか」「別の見方はないか」と問い直すことが大切です。
もっともらしい文章でも、地域の実情や市民の切実な思いが抜け落ちているかもしれません。ここに、「AIに使われるのか、AIを使うのか」の違いがあると考えます。
何を実現したいのか。誰の、どのような困りごとを解決したいのか。その軸をしっかり持つこと。同時に、調べた結果や市民の声を受けて、自分の考えを見直す柔軟さも必要です。
AIを使いこなすには、能力も経験も求められます。目的を伝え、答えを確かめ、足りない部分をさらに調べる。その積み重ねが、議員自身の調べる力、考える力、伝える力を底上げすると私は考えています。
そして、政策や発言について説明する責任は、議員本人にあります。根拠を確かめ、自分の言葉で説明できることが必要です。
私は、AIの活用に前向きです。自分の軸を持ち、日々の疑問を大切にしながら、AIに振り回されず、使いこなす力を磨く。その成果を、市民の声をより丁寧に受け止め、地域の課題を解決する仕事につなげていきたいと考えています。

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