POLICY INSIGHT / 都市経営・財政
京田辺市の未来をどう整えるか
「縮むまち」ではなく、「暮らしを守れるまち」へ。
人口の規模だけを追いかけるのではなく、変わる人口構成に合わせ、公共施設・交通・行政サービスを持続できる形に整える。京田辺市の将来を見据えたまちづくりについて考えます。
京田辺市に暮らしていると、「人口減少」という言葉は、まだ少し遠い話に聞こえるかもしれません。新しい住宅地もあり、子育て世代の姿も見られます。
実際、京田辺市の人口は、全国の多くの自治体とは少し違う動きをしてきました。しかし、人口が維持できていることと、これから先も同じ仕組みで市政を運営できることは、同じではありません。
私が重視しているのは、人口が減ったときに慌てて何かをなくすことではなく、暮らしの質を守るための選択肢を、今のうちに増やしておくことです。
京田辺市は、今すぐ人口が急減するまちなのか?
市が公表した2026年10月1日時点の推計人口は74,062人。2025年国勢調査の確報値は74,315人です。ここ数年、全国的な人口減少のなかでも、京田辺市は比較的安定した人口規模を保っています。
ただし、市の人口ビジョンでは、市全体の人口は2030年頃まで増え、その後減少に向かう推計です。しかも地域差があります。北部は2025年頃、中部は2035年頃、南部は2030年頃がそれぞれ人口のピークとされます。
これは未来が決まったということではなく、現在の条件に基づく推計です。社会情勢や住宅開発などで変わり得ます。しかし、先の変化を考えて準備するには十分な理由になります。
人口より先に、暮らしを支える仕組みが苦しくなることもある
少し身近な例で考えてみましょう。学校、体育館、公民館、道路、橋、水道。いずれも建てたり造ったりすれば終わりではありません。点検、修繕、更新、管理する人とお金が必要です。
京田辺市の公共施設等総合管理計画(2022年改訂)では、建築物施設を現状のまま維持する場合、今後35年間の更新費用を約591.4億円(年平均約16.9億円)と試算しています。長寿命化を図る場合の試算は約411.9億円です。これらは当時の一定条件に基づく試算であり、現在の工事価格や最新の事業計画をそのまま表すものではありません。
施設の維持費だけでなく、福祉や医療関連の需要、人件費の動向、物価の変化など、行政を取り巻く条件も動きます。収入と支出の構造が変われば、これまで当たり前にできていたことも、優先順位の見直しが必要になるかもしれません。
「スマートシュリンク」は、切り捨てのことではない
ここで考えたいのが「スマートシュリンク」という発想です。直訳すれば賢い縮小ですが、私の捉え方は少し違います。
必要なものを漫然と減らすのではなく、維持すべきものを見極め、提供方法を工夫して、暮らしの質をできるだけ守るという考え方です。
例えば、建物の数を維持することが、必ずしもサービスを守ることと同じとは限りません。一つの施設を複数の用途で使ったり、利用時間や運営方法を見直したり、必要な地域に交通手段を確保したりする方が、住民にとって便利になる場合もあります。
ただし、統廃合や集約には、移動しづらくなる人への配慮、災害時の機能、地域コミュニティへの影響などもあります。費用だけで結論を出すべきではありません。
これから重視したい4つの視点
老朽化、利用実態、必要な機能、更新費用を見える化。建て替え・長寿命化・複合化を比較し、利用者への影響も考えます。
施設やサービスを集める場合も、通院・買い物・通学などの移動が困難にならないよう、公共交通との組み合わせを考えます。
行政DXや業務の標準化で重複する事務を減らし、限られた人員を必要な市民サービスへ振り向ける体制を目指します。
利用者数や維持費に加え、生活への必要性、代替手段の有無、公平性、将来世代の負担まで検討します。
「増やす」ことより「続けられる」ことも大切に
新しい施設や制度は、始めるときが一番目立ちます。しかし行政の仕事は、完成式や制度開始の日で終わりではありません。長い年月、維持し続けられるのかが問われます。
私は、将来世代が維持できない約束を積み上げるのではなく、必要な市民サービスが10年後、20年後も続く仕組みを考えることが大切だと思っています。
そのためには、「行政が担うべき仕事は何か」「民間や地域と役割分担できることは何か」「利用の少ない事業や施設をどう評価するか」といった、簡単には答えの出ない問いにも向き合う必要があります。
今後も調査と提言を続けます
今後は、人口構成の変化、地域別の需要、公共施設の長寿命化や更新費用、行政の支出構造などを、決算や計画の資料と照らし合わせながら確認していきたいと考えています。
そして、財政負担を抑えることと、市民に必要なサービスを守ることを対立させるのではなく、両立できる選択肢を探していきます。
まだ考える時間がある今、これからも続けたい暮らしを守るために、何を変えておくか。それが、私の考える持続可能なまちづくりです。
参考資料
※人口推計および更新費用の数値は各公表資料の時点・前提条件によるものです。本文の政策的な考え方は筆者の提案であり、市の決定済み方針を示すものではありません。

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