子ども・家庭への支援 | 京田辺市への提案
京田辺市議会議員の長田和也(ながた和也)です。
「助けて」と言えないときにも、
必要な支援につながれるまちへ。
子育てや暮らしの困りごとがあっても、どこに相談すればよいか分からない。毎日を過ごすだけで精いっぱいで、相談する余裕がない。子ども自身も、つらさをうまく言葉にできない――。そんなとき、周囲がもう少し早く気づき、手を差し伸べることはできないでしょうか。
私が京田辺市で進めたいと考えているのが、「こどもデータ連携」を生かした予防的な支援です。学校や行政が持つ情報を必要な範囲でつなぎ、人による気づきを補う取組について、今回は、先の一般質問でも取り上げたこのテーマの意味と本市での進め方をお伝えします。
この記事でお伝えしたいこと
- 目指すのは、今の仕組みでは見えにくい「支援の死角」を小さくすることです。
- データから確認のきっかけを得て、人が状況を確かめ、支援を考えます。
- 京田辺市の既存の取組を土台に、小さく試し、効果を確かめながら進めたいと考えています。
1.今ある見守りを支え、「支援の死角」を小さくする
子どもたちの毎日を支えているのは、学校の先生、保育や福祉の職員、保健師、地域の民生委員・児童委員など、多くの方の気づきと働きかけです。相談や家庭訪問、関係者が集まるケース会議も、欠かせない支援の土台です。
一方で、学校には学校から見える姿があり、保健や福祉の担当には、それぞれが接する場面があります。一つの部署や機関だけでは、子どもと家庭の状況を十分に捉えきれないこともあるはずです。
すでに支援の必要性が分かっている家庭について情報を共有することと、まだ誰も「支援が必要かもしれない」と気づいていない家庭を見つけることには、違う難しさがあります。
私は、この後者の部分を少しでも補いたいと考えています。現場で積み重ねられている見守りに、行政が持つ情報から得られる気づきを加える。そのことで、相談を待つだけでは届きにくい支援を、もう一歩届けられるのではないでしょうか。
目指したいのは、困りごとが深刻になる前に気づき、子どもや家庭とつながる機会を増やすことです。
2.「こどもデータ連携」は、どんな仕組み?
こども家庭庁が進める「こどもデータ連携」は、教育・福祉・保健などに分かれている情報を、個人情報を適切に扱いながら連携し、支援を必要とする子どもや家庭に早く気づいて、相談や訪問などにつなげる取組です。[1]
仕組みを大まかに表すと、次のような流れになります。
- 必要な情報をつなぐ支援の目的を定め、その目的に必要で、適切に利用できる情報を整理します。
- 確認が必要かもしれない子どもを抽出する複数の情報を組み合わせ、人による確認の候補を見つけます。この段階が「スクリーニング」です。
- 人が、今の状況を確かめる学校や福祉の専門職などが日頃の様子も踏まえ、支援や見守りの必要性を検討します。
- 支援・見守りにつなぎ、その後も確認する声かけや面談、必要なサービスの案内などを行い、状況に応じて対応を見直します。
データは「人が見るべき場所を教えてくれる補助線」です。
分析にAIや統計的な手法を使う場合もありますが、数値だけで家庭の状況や支援の要否を決めるものではありません。国のガイドラインも、人による確認と検討を求めています。[2]
例えば、別々に見えていた情報を一緒に考える
学校で欠席や遅刻が増えている。以前、家庭への支援があった。健診を受けていない時期がある。こうした情報を必要な範囲で重ねることで、「今、何か困っていないだろうか」と確かめるきっかけが生まれるかもしれません。
※仕組みを説明するための例です。京田辺市の実際の家庭や、採用が決まったデータ項目・判定基準を示したものではありません。
もちろん、欠席や健診未受診にはさまざまな事情があります。一つの情報で「問題のある家庭」と決めつけず、本人や家庭の状況を丁寧に理解することが大前提です。
3.取り組むことで、何を変えたいのか
相談する前にも、支援につながるきっかけを
「困ったら相談してください」に加えて、支援する側から気にかける機会を増やしたいと考えています。例えば、日頃接点のある人からの声かけをきっかけに、困りごとを話せたり、使える制度を知ったりする。そうした小さな接点を、必要な支援につなげたいのです。
学校で見える困りごとを、家庭への支援につなげる
学校生活の変化の背景に、家庭の生活上の困難があるかもしれません。教育と福祉・保健が一緒に考えることで、先生の気づきを、家庭への相談支援や生活を支えるサービスに結びつける可能性が広がります。
一度の対応で終わらず、変化を見守る
以前の支援が終わった家庭でも、その後に状況が変わることがあります。必要な範囲で情報を更新し、改めて気にかける機会をつくることも大切です。
これらは、私が本市で目指したい変化です。新しい支援への入口を、今ある相談・訪問・ケース会議につなぐ。その効果を、実際の運用の中で確かめていく必要があります。
4.先行自治体では、支援や見守りへの接続も
大阪府和泉市:人による確認を経て、31人が支援・見守りへ
令和7年度の実証では、モデル校15校のうち、データを利用できた7,347人を分析しました。すでに要保護児童対策地域協議会(要対協)に登録されていた170人を候補抽出から除き、206人について人が確認しました。
学校と福祉をつなぐ専門職であるスクールソーシャルワーカー(SSW)などが状況を確認した結果、20人が要対協への登録、11人が教職員やSSW等による支援・見守りにつながっています。要対協は、支援が必要な子どもについて関係機関が情報を共有し、対応を協議する仕組みです。[3]
新潟県佐渡市:新たに67人を支援・見守りの対象に
令和7年度報告書の第2回分析では、4,255人のうち577人がシステム上、虐待について高リスクと判定されました。これは、虐待が確認された人数を意味しません。
既存の支援・相談歴などの確認と、モデル校6校に対象を絞る過程を経て、新たに67人を支援・見守りの対象としました。その内訳は次のとおりです。[4]
佐渡市・第2回分析からつながった対応
| 人数 | 対応の内容 |
|---|---|
| 66人 | 見守り |
| 1人 | 生活環境のフォロー |
※前年度から継続した48人は、この67人に含みません。モデル校を対象にした取組であり、577人全員について同じ範囲で支援の要否を確認した結果ではありません。
私がこれらの事例から注目しているのは、データをきっかけに人が関わり、既存の支援や見守りにつなげている点です。自治体ごとに対象や方法が違うため、人数を単純に比較したり、そのまま京田辺市での成果を予測したりすることはできません。
5.安心して支援につながれる仕組みにする
家庭の情報がどこまで共有されるのか。数字だけで決めつけられないか。こうした疑問に、具体的に答えられる仕組みでなければ、信頼を得ることはできません。
本市で検討する際には、少なくとも次の点を大切にしたいと考えています。
- 目的と利用範囲を明確にする。何の支援のために、どの情報を、誰が利用するのか。法令上の根拠を確認し、必要な範囲に絞ること。
- 情報を適切に管理する。閲覧できる職員や保存期間を定め、アクセスの記録や誤った情報の訂正なども含め、運用を整えること。
- 子どもや家庭への決めつけを防ぐ。古い情報や数値だけに引きずられず、現在の状況を人が確認すること。
- 本人の声と信頼関係を大切にする。子どもの安全と最善の利益を中心に、年齢や状況に応じて意見を聴き、声のかけ方や支援の届け方を考えること。
データに表れない困りごともあります。
抽出されなかったことを「支援は不要」という判断に使わず、相談窓口や訪問、日常の見守りも引き続き充実させる必要があります。
6.京田辺市では、今ある取組を土台に進めたい
本市の「京田辺市こども計画」には、家庭への訪問や相談、こども家庭センターの体制強化、予防的な対応と切れ目のない支援が位置づけられています。また、福祉・健康・教育など、部署をまたぐ連携を深める方針も示されています。[5]
私は、この方向性を具体化する一つの方法として、こどもデータ連携の調査研究を進めてほしいと考えています。以下は、市の実施決定を紹介するものではなく、私が提案したい進め方です。
- 今の情報共有と、見えにくい場面を整理する学校・教育委員会・こども未来部・福祉・保健部門が持つ情報と、現在の共有方法を確認します。支援中のケースと、まだ支援対象として把握されていない子どもでは、何が違うのかも整理します。
- 先行事例と、過去の支援ケースから学ぶ佐渡市や和泉市などに、効果だけでなく手間や課題も聞きます。適切な手続の下で過去のケースを振り返り、どの情報があれば早く気づけた可能性があるかを検討します。
- 人が確認し、支援する体制を先に整える法的な整理、情報管理、市民への説明とともに、誰が確認し、誰が声をかけ、その後を見守るのかを決めます。担当者の時間や専門職の確保も含めて考えます。
- 対象や期間を限定して、試して確かめる必要に応じ、小規模な実証から始めます。最初から大規模なデータベースを前提にせず、本市に必要な情報と運用方法を確かめます。
- 支援につながったかを評価し、改善する抽出人数だけでなく、新たな気づき、支援への接続、本人の受け止め、職員の負担や費用も確認します。追加の効果が小さければ、それも大切な結果として方法を見直します。
情報をつなぐには、組織同士のつながりも必要
教育と福祉の専門職が同じ目的で話し合い、対応の責任を共有できる体制も欠かせません。まずは部局をまたぐ調整の仕組みを整え、その先には、子ども施策を一体的に進める統括的な体制や、将来の組織のあり方も検討の選択肢になると考えます。
教育委員会の独立性や教育の中立性、各部門の専門性を尊重しながら、子どもを中心に、どのような体制なら支援が届きやすくなるかを考えていきたいと思います。
支援の入口を、もう一つ増やすために
制度があっても、そこにつながれなければ、支えを必要とする人には届きません。自分から相談できる人にも、声を上げにくい人にも、必要な支援が届くまちであってほしいと思います。
こどもデータ連携には、今ある見守りを支え、まだ気づかれていない困りごとに目を向ける可能性があります。その可能性を、個人情報の保護と現場の支援体制を大切にしながら、本市に合う形で確かめていきたい。
子どもや家庭が困難を抱え込む前に、つながれる機会を増やす。
市や関係機関の皆さんと課題を共有しながら、京田辺市での具体的な一歩を後押ししていきます。
参考資料・出典
自治体の実績は令和7年度実証事業の成果報告書に基づきます。人数は資料の対象・集計区分に沿って記載しています。
1.こども家庭庁「こどもデータ連携」
取組の目的・概要、実証事業の公表資料。
2.こども家庭庁「こどもデータ連携ガイドライン」(PDF)
第7章「支援への接続」、本文46~48頁。人による確認、支援方策の検討、フォローアップなど。
3.令和7年度 こどもデータ連携実証事業 成果報告書・和泉市(PDF)
本文45頁「データ連携による抽出結果の全体像」。
4.令和7年度 こどもデータ連携実証事業 成果報告書・佐渡市(PDF)
本文40~44頁(判定・支援結果)、46~47頁(抽出結果の全体像)。
5.京田辺市「京田辺市こども計画」 / 計画全文(PDF)
2025年3月策定。本文125頁(こども家庭センター等)、138~139頁(訪問支援)、149頁(連携の推進)など。
資料確認:2026年9月24日。頁番号は、原則として資料に印刷された本文の番号です。

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