令和8年第2回京田辺市議会定例会開会 提出議案等の解説 vol.5

本会議

市議会に提出された報告第10号および報告第11号について、詳しく解説します。

これら2つの報告は、これまでの「一般会計(税金を中心とした市の基本的なお財布)」とは異なり、「地方公営企業」と呼ばれる独立した独立採算制(原則として利用料金で運営する仕組み)の事業に関するものです。私たちの生活に直結する「水道」「下水道」のインフラを維持・改修するための予算が、どのように翌年度へ持ち越されたのかを示しています

報告第10号:令和7年度京田辺市水道事業会計予算の繰越について

そもそも「水道事業会計の繰越」とは?

京田辺市が市民のみなさまに安心・安全な水を安定して届けるため、水道管の耐震化や老朽化した施設の改築更新(建設改良事業)を行うための予算です。 法律(地方公営企業法第26条)に基づき、年度内に完了しなかった建設工事などの費用を翌年度に引き継いで実施します

📊 数字で見る水道事業の動き

  • 予算計上額(はじめに用意したお金):13億2645万8000円
    • 老朽化対策や耐震化などのために、これだけのお金が計画されていました。
  • 支払義務発生額(年度内に実際に使った・支払いが確定したお金):3億4224万384円
    • 年度内に工事が進み、支払いが済んだ、あるいは支払うことが確定した金額です。
  • 翌年度繰越額(来年に持ち越して使うお金):6億3400万円
    • 工事の工程調整などの理由により、全体の約48%にあたるお金を翌年度に持ち越して、引き続き工事を完成させます。
  • 不用額(使わずに余ったお金):3億5021万7616円
    • 入札によって当初の予定より安く契約できた(予算の節約)などの理由で、最終的に使わずに済んだお金です。これは市の水道事業の貯えに戻ります。

💰 繰り越すお金(6億3400万円)の財源内訳

水道事業は独立採算のため、市民の税金(一般会計)を直接使うのではなく、水道事業自身が持つ資金から賄われます

  • 建設基金(2億5640万円): 将来の施設整備のために水道事業としてコツコツ貯めてきた基金(貯金)を取り崩して使います。
  • 損益勘定留保資金(3億7760万円): 水道料金などの収入から生まれた、事業の手元に残っている確実な資金をあてがいます。

報告第11号:令和7年度京田辺市公共下水道事業会計予算の繰越について

そもそも「公共下水道事業会計の繰越」とは?

使った水をきれいにして川へ戻すための下水道管の改修や、マンホールポンプといった施設の更新などを行うための予算です。水道と同様、年度内に終わらなかった建設改良事業の予算を翌年度に引き継ぎます

📊 数字で見る下水道事業の動き

  • 予算計上額(はじめに用意したお金):4億3668万5000円
    • 管路の改築更新や、開発に伴う工事、各種調査などのために用意された予算です。
  • 支払義務発生額(年度内に実際に使った・支払いが確定したお金):1億8495万4713円
    • 年度内に執行・確定した金額です。
  • 翌年度繰越額(来年に持ち越して使うお金):1億1200万円
    • 全体の約25%にあたる金額を翌年度に持ち越し、遅滞なく事業を継続します。
  • 不用額(使わずに余ったお金):1億3973万287円
    • こちらも水道同様、効率的な事業執行などによって使わずに節約できたお金です。

💰 繰り越すお金(1億1200万円)の財源内訳

下水道は、国からのサポートや、公的な借入金を上手に組み合わせて財源を作っています

  • 国庫補助金(4,000万円): 国から交付される補助金をしっかりと活用しています。
  • 企業債(6,600万円): 下水道施設のように何十年も国や地域に残る財産を作るため、公的な機関から低金利で借り入れる長期のお金(借入金)です。
  • 損益勘定留保資金(600万円): 下水道使用料などの収入から生まれ、手元に留保されている事業資金です。

🔍 エビデンス(市の経営戦略等)に基づく背景解説

公表されている京田辺市の「水道ビジョン」や「下水道事業経営戦略」などの公的データと照らし合わせると、今回の繰越しや不用額が発生している背景には、以下のような明確な構造的理由(エビデンス)があります。

  1. 上下水道の一体的な耐震化・老朽化対策の推進(水道第10号の背景) 京田辺市では近年の能登半島地震などの教訓を踏まえ、将来にわたり安心な水を供給するため、上下水道施設の改築更新や耐震化、PFAS(有機フッ素化合物)等の水質管理体制の強化を重点的に進めています。今回、水道事業で13億円規模の予算を組み、約6億3400万円を翌年に繰り越して精緻に事業を行っているのは、こうした計画的かつ妥当なインフラ強靱化投資(建設改良事業)が現在進行形で進んでいる証左です。
  2. ストックマネジメント(計画的な更新)の実施(下水道第11号の背景) 下水道事業においては、闇雲に一斉工事を行うのではなく、下水管路の点検・調査結果に基づいて優先順位をつけ、年間約1.3億円規模を目安に計画的な改築更新(ストックマネジメント)を行っています。今回、約1.1億円が翌年度に繰り越されていますが、これは他部局の道路工事や民間の開発工事、ガス管移設工事などとの「工程の調整」を綿密に行い、無駄な掘り返しを防ぐなど、コストと市民生活への影響を最小限に抑えるよう最適化を図った結果であると言えます。

まとめ:市民のみなさまへのメッセージ

水道・下水道ともに、多額の予算が翌年度に繰り越されていますが、これは「事業が停滞している」わけではありません

むしろ、市民のみなさまのライフラインである上下水道を「より安全に、かつ無駄な税金や料金のロスをなくすために、他工事とのスケジュールを賢く調整しながら、確実な財源の裏付け(国からの補助金や事業の貯えなど)をもって進めているプロセス」として、非常に健全かつ計画的な予算の執行状況であると捉えることができます

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